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白い魔女と白の乗り手

「ライオンと魔女」のWhite witchは「白い魔女」
「指輪物語」のWhite riderは「白の乗り手」

Green witchは「緑の魔女」(スーザン・クーパー作の「闇の戦い」シリーズに出てくるGreen witchは「みどりの妖婆」)
これは「緑の」以外には訳しようがない。
「○い」「○の」という二つの選択肢があるのは、「白」「黒」「赤」「青」だけだから。

「青の洞窟」「青の洞門」というのもありましたね。
「青い」じゃない。

「青いカナリア」「青い珊瑚礁」は「青の」じゃない。

「青いカナリア」は、いろいろな種類のカナリアのうちの一種という感じがする。「青い珊瑚礁」はたまたま青いっていうか・・・。要するに名詞に形容詞が付いているだけのこと。
「青の洞窟」は「この洞窟はただ青いなんてレベルじゃなくて、青そのものなんだぞ」という感じ?で、全体として固有名詞っぽくなる。


「白の魔女」「白い乗り手」ではなく、「白い魔女」「白の乗り手」と訳したのが瀬田さんのセンス。
なるほどなあと思うけれど、外国人に説明するのは難しいです。

by foggykaoru | 2008-07-02 22:03 | バベルの塔 | Trackback | Comments(8)

Commented by むっつり at 2008-07-03 00:07 x
「てにをは」の使い分け…難しいですね
意味も雰囲気も違いますから
それにしても、これって外国人、特に中国人にはどうやって説明するのでしょう
Commented by mog at 2008-07-03 11:27 x
☆日本人の感性、では説明不足でしょうし、確かに難しいでしょうね。
 センス。
 こればっかりは、なんともお手上げですけど、瀬田さんのセンスのおかげで42年間ナルニアとお付き合いしているわけ。
 翻訳のセンスって、ある意味すごいな、と思います。
 改めてね。
Commented by とーこ at 2008-07-03 12:43 x
 原書を見ていないので何ともいえませんが、たとえばWhite riderの後のRiderが大文字はじまりだったら固有名詞色が強いから「の」になる可能性大…というようなニュアンスは英語にはあるんじゃないかと思います。「白い魔女」の場合は完全に固有名詞ですからこれはあてはまりませんが。

 フランス語って英語だったら大文字のところを、小文字で書いたりするものもあるでしょう?(francaisって形容詞的だと大文字じゃなかったり) これって時に不思議なんだけれども、フランス語的にはそのあたりのニュアンスはどうなのでしょう? っていうかすみません。どういう時にフランス語だと大文字になるかがいまだによくわからないので不思議っていうか。
Commented by foggykaoru at 2008-07-03 22:04
むっつりさん。
「黒白赤青」は形容詞の語幹で、他の色、たとえば緑とか紫は名詞。
「てにをは」とは違うけれど、微妙なニュアンスという意味ではほとんど同じですよね。
Commented by foggykaoru at 2008-07-03 22:09
mogさん。
翻訳には外国語力よりもむしろ日本語力が必要だと言われますが、同感です。
Commented by foggykaoru at 2008-07-03 22:17
とーこさん。
瀬田さんは英語の綴りが大文字かどうかということを判断の基準にしていたのかなあ。
そういう英語の細かいことは、あんまり考えなかったんじゃないかと思うんですけど、これはあくまでも私の想像。

フランス語のFrancaisとfrancaisがニュアンスの違いになって現れてくることはあまりないと思います。
「フランス人」という名詞なら大文字。
「フランスの」という形容詞なら小文字。
「私はフランス人です」が
Je suis Francais 
だったり
Je suis francais
だったりするのは、こういう文のときは不定冠詞をつけないので、結果的に「フランス人」という名詞なのか「フランスの」という形容詞なのか、判然としなくなるので、どっちでもよいことになっているのです。
Commented by AngRophile at 2008-07-04 11:34 x
翻訳の話から少し外れますが、

white house の場合は、 white に第一アクセントを置くか、house に置くかで、意味が変わります。

青の魔女といえば、マンチキン!
おっとあれは東の魔女でしたか。

「白の」というと、単に色が白いだけじゃなくて、白が持つさまざまな属性やイメージを総括して代表している感じがします。

あえて言えば、white という形容詞を使うか属格を使うかで厳密には区別していたのでしょう。現在、英語には名詞の属格がないので、white にアクセントを置くと名詞+名詞の構造だと判断されるんだと思います。(多分)
Commented by foggykaoru at 2008-07-05 21:20
あんぐろふぁいるさん。
英語はアクセントという問題もありましたっけね。なるほど。
瀬田さんはどの程度英語に詳しかったのかなあ。

>「白の」というと、単に色が白いだけじゃなくて、白が持つさまざまな属性やイメージを総括して代表している感じがします。

おお、私が言いたいことをきっちり言ってくださってありがとうございます♪
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