白い魔女と白の乗り手
2008年 07月 02日
「指輪物語」のWhite riderは「白の乗り手」
Green witchは「緑の魔女」(スーザン・クーパー作の「闇の戦い」シリーズに出てくるGreen witchは「みどりの妖婆」)
これは「緑の」以外には訳しようがない。
「○い」「○の」という二つの選択肢があるのは、「白」「黒」「赤」「青」だけだから。
「青の洞窟」「青の洞門」というのもありましたね。
「青い」じゃない。
「青いカナリア」「青い珊瑚礁」は「青の」じゃない。
「青いカナリア」は、いろいろな種類のカナリアのうちの一種という感じがする。「青い珊瑚礁」はたまたま青いっていうか・・・。要するに名詞に形容詞が付いているだけのこと。
「青の洞窟」は「この洞窟はただ青いなんてレベルじゃなくて、青そのものなんだぞ」という感じ?で、全体として固有名詞っぽくなる。
「白の魔女」「白い乗り手」ではなく、「白い魔女」「白の乗り手」と訳したのが瀬田さんのセンス。
なるほどなあと思うけれど、外国人に説明するのは難しいです。
by foggykaoru | 2008-07-02 22:03 | バベルの塔 | Trackback | Comments(8)
意味も雰囲気も違いますから
それにしても、これって外国人、特に中国人にはどうやって説明するのでしょう
センス。
こればっかりは、なんともお手上げですけど、瀬田さんのセンスのおかげで42年間ナルニアとお付き合いしているわけ。
翻訳のセンスって、ある意味すごいな、と思います。
改めてね。
フランス語って英語だったら大文字のところを、小文字で書いたりするものもあるでしょう?(francaisって形容詞的だと大文字じゃなかったり) これって時に不思議なんだけれども、フランス語的にはそのあたりのニュアンスはどうなのでしょう? っていうかすみません。どういう時にフランス語だと大文字になるかがいまだによくわからないので不思議っていうか。
翻訳には外国語力よりもむしろ日本語力が必要だと言われますが、同感です。
瀬田さんは英語の綴りが大文字かどうかということを判断の基準にしていたのかなあ。
そういう英語の細かいことは、あんまり考えなかったんじゃないかと思うんですけど、これはあくまでも私の想像。
フランス語のFrancaisとfrancaisがニュアンスの違いになって現れてくることはあまりないと思います。
「フランス人」という名詞なら大文字。
「フランスの」という形容詞なら小文字。
「私はフランス人です」が
Je suis Francais
だったり
Je suis francais
だったりするのは、こういう文のときは不定冠詞をつけないので、結果的に「フランス人」という名詞なのか「フランスの」という形容詞なのか、判然としなくなるので、どっちでもよいことになっているのです。
white house の場合は、 white に第一アクセントを置くか、house に置くかで、意味が変わります。
青の魔女といえば、マンチキン!
おっとあれは東の魔女でしたか。
「白の」というと、単に色が白いだけじゃなくて、白が持つさまざまな属性やイメージを総括して代表している感じがします。
あえて言えば、white という形容詞を使うか属格を使うかで厳密には区別していたのでしょう。現在、英語には名詞の属格がないので、white にアクセントを置くと名詞+名詞の構造だと判断されるんだと思います。(多分)
英語はアクセントという問題もありましたっけね。なるほど。
瀬田さんはどの程度英語に詳しかったのかなあ。
>「白の」というと、単に色が白いだけじゃなくて、白が持つさまざまな属性やイメージを総括して代表している感じがします。
おお、私が言いたいことをきっちり言ってくださってありがとうございます♪