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ドロシア好みではなさそうな本

c0025724_21194562.jpgとして「長い冬休み」にちらっと出てくる「砂漠のなぞ」。フラム号の本棚にあった唯一の小説なのですが、これが正しくは「砂州の謎」だった、ということがARCのMLで話題になったのはわりと最近のことです。

砂州、ねえ・・・。
ヨットの話なのね。ふーん。
子どもの頃からランサムを読んでいても、特にヨットにハマることもなく過ごしてきた私なので、その話題にもスルーを決め込んでいたのですが、先日、非常に身近な図書館で見つけてしまったんです。

あちゃー、ここにあったなんて。
・・・しょうがないなあ。じゃ、読んでみるか。
というのが正直な気持ちでした。

なにしろ文字が細かいんです。しかも二段組み。今の私の目にはちょっと辛い。
途中で挫折するんじゃないかと思いながら読み始めたのですが、、、これが意外にも実に面白い。決してドキドキワクワクの連続ではないのになぜかやめられないという点において、ジェーン・オースティンあたりと似ています。そして妙に描写が細かいところがランサムに似ている・・・。

まず、人物設定がツボです。
イギリスの外務省勤務のええとこのぼんぼんが、夏休みを取れなくて、ロンドンで世の中を恨みつつ暑い(って言ったって、東京の暑さからしたら暑いうちになんか入らない)夏を過ごして、ようやく休みが取れることになったけれど、もうつきあってくれる人もいないので、どうしたらものかと思っていた矢先に、旧友(これまたええとこのぼんぼん)から「バルト海でヨットに乗ろう」と誘われる。
このぼんぼん二人組のイギリス臭さがツボです。
別にヨット好きでなくても、ランサムを読んでなくても、イギリス臭い話が好きな人だったら絶対にハマります。

もちろんヨット好きにはやめられないこと必至。
そして、ランサム好きにはツボの連続です。この冒険をぐーんとお子様バージョンにしたのがランサム・サガだったのだということがよくわかります。
難しい帆船用語のオンパレードなのではないかという心配は無用。ランサムを読破した人なら絶対に読めます。私が読めたんですから。っていうか、「私って案外ヨットに慣れ親しんでいるかも?」とか思ってしまいましたよ(笑)。帆走のことを勉強しようという気がなくても、「門前の小僧習わぬ経を詠む」ってやつでしょうかね。なんとなくついていけてしまうのが我ながら不思議でした。(ただ「タック」とか「タッキング」イコール「間切る」だということだけは知っておいたほうがいいけれど。)

ランサムはこの本、相当お気に入りだったのしょうね。
あの巻とかあの巻あたり、この本からヒントを得て書いたんじゃないかしら・・・。

私は細かくて面倒臭いところがあると、どんどん斜め読み&飛ばし読みしてしまいます。子どもの頃のランサムもそうでした。数年前出会った指輪物語もそうでした。でも、これらの本は読み終えた次の瞬間に、また最初のページに戻り、初回に斜めに読んだところを今度はきちんと読み直しました。
ほんとうに面白い本ならそうさせてくれる。
そういう本に出会うために本を読むのかも。
そして、久しぶりにそうさせてくれたのが、この「砂州の謎」でした。

筑摩書房刊。
ただし絶版。

by foggykaoru | 2008-07-25 21:08 | 推理小説

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