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「アンデスの黄金」

中公新書。著者は大貫良夫という人。東大名誉教授だそうだ。

ペルー関連ということで読んだのだが、私が行くところとは直接的には関係が無い。
クントゥル・ワシというところの遺跡発掘調査と発見されたもののその後の話である。
遺跡に関してはほとんど斜め読み。
興味深く読んだのは、地元の人々やとのすったもんだやペルーのお偉いさんとの折衝のほう。
先日読んだ本でも思ったのだが、考古学というのはなかなか大変な学問だ。体力がないとやっていけないというだけでなく、政治力も必要。
最終的にはペルーの人々は「他のペルー人よりも、日本人のほうが信用できる」と言ってくれたのだそうだが、そんなんでいいのかペルー人! 日本人としては嬉しいんだけどさ。

この本に関する情報はこちら

by foggykaoru | 2008-07-26 21:05 | 西洋以外の歴史 | Trackback | Comments(12)

Commented by naru at 2008-07-26 23:22
私はNYで二人のとても魅力的なペルー人に会いました。
うち一人は、本当に国際派。スイスで教育を受け、最後はカリフォルニアの大学院。夫はオランダ人で、娘の教育について意見が合わないときに「オランダ人はリベラル過ぎて困る!」と文句を言っていました。
ペルー人って、ラテン系とも少し違う印象を持ちましたが、たまたま特殊な人に出会っちゃった、ということでしょうかしらね。
Commented by むっつり at 2008-07-26 23:26
大英博物館でもそうですが、考古学って盗掘と紙一重
学術調査だと言っても外国の調査団は発掘した品物を祖国に持ち帰ってしまうのが常識だった時代もありましたから
Commented by meadow02 at 2008-07-27 02:39
アンデスはミイラ信仰があるので苦手なのですが、この遺跡は初めて知りました。最近発見されたのかな。
よく、工事で遺跡が見つかって調査に工事が中断されるから嫌われると聞きます。イラク戦争で国立博物館が略奪で見る影も無くなったといいますから、黄金もさることながら発掘品は金銭価値が高いことになりますね。これだけでも発掘や出土品の搬出に政治力が無いとやっていけないんだろうというのが分かります。
ちょっと違いますが、エジプトの吉村教授も資金稼ぎでせっせとバラエティに一時期出ていましたね。
Commented by サグレス at 2008-07-27 15:24
発掘した品々がそれなりに高額で売れてしまうのが問題ですね。調査地における信頼関係の構築や、調査そのものにかかる資金調達能力は、生態学などの野外調査でも必要ですが、こちらは生物を採集するにしても、売れませんもん(笑)。だから、猫ばばや横流しの心配はゼロ。
その心配の分だけでも、考古学者は大変です。(猫ばば対策のためには、現地採用の作業員に十二分な賃金を支払うことが必要でしょうから、資金面でも相当苦労しそうですね。)

先日、エジプト考古学庁のザヒ・ハワス博士が日本のテレビに出ていて、「エジプトのインディ・ジョーンズ」という紹介をされていましたが、インディ・ジョーンズは考古学者というより墓泥棒になんぼか近い感じがします。娯楽映画の主人公だから、真面目に受け取る必要はないかもしれないけど、比較するのはザヒ先生に失礼なんじゃないかなぁ。
Commented by foggykaoru at 2008-07-27 17:29
naruさん。
ペルー人がお互いを信じられないというのは、インカをいきなり滅ぼされて、スペインに牛耳られてしまったという歴史がペルー人の心に残した傷跡の1つじゃないかと思います。
今も政情不安定だし。
あと、教育水準の問題もある。
文字も読めない田舎の人たちからすると、リマのお偉いさんなんて、同じ仲間とは思えないんだと思います。
Commented by foggykaoru at 2008-07-27 17:32
むっつりさん。
そう。発掘して見つけたものを、ぶんどっていってしまうのではないかという恐れを、地元の人が抱くのは当然のことなんです。
だからって、発見されたものの本当の価値をほんとうにわかっているのは、考古学者だけなんですけどね。
Commented by foggykaoru at 2008-07-27 17:35
meadow2さん。
お元気になられましたか?
この教授も村の博物館建設資金調達のために、日本各地で展覧会をやってます。そのままぶんどっていってしまうのではないかと疑う人もいないではなかったけれど、それまで築き上げた人間関係があったから、信用してもらえたわけです。
Commented by foggykaoru at 2008-07-27 17:40
サグレスさん。
>発掘した品々がそれなりに高額で売れてしまうのが問題ですね。
そのとおり。
>インディ・ジョーンズ
まっ、一応彼も真実を追究する学者ってことになっているんですよね。一応。見つけたものを転売するわけじゃないから。
Commented by ふるき at 2008-07-28 00:13
ザグレスさんへ

 薬用植物や微生物を探している人達は今もいるのでしょうか?
 かって、その発見物が誰の物なのかが国際問題になった記憶があるのですが?
Commented by lamafe at 2008-07-28 10:04
10年ほど前にクントゥル・ワシの近くでフィールドワークをしていて、こんなところで東大の先生方が20年も昔に発掘してたんだなぁと思うと感慨深く感じました。電気も水もない、非常に不便で不毛なところです。
ペルーではスペイン植民地時代から脈々と続く、「知っている人たち(政治家、弁護士、外国人等)に利用される(自分たちの財産が不当に奪われる)」ことを恐れ、嫌う気持ちが根深く残っています。「正直者は馬鹿だ」というのが普通に言われることにショックを受けたことが何度もあります。
でもだからこそ、大貫先生や多くの日本人研究者がペルーの考古学研究において、地元の人々に遺物の価値や保存方法を教え、彼らと信頼のきずなを結んでいったことに非常に敬意を持ちます。
誠実な仕事をしてきたのが日本の研究者の皆さんであることに誇りを感じるのは、私が日本人だからでしょうが、同じ日本人として、自分もこの国で貢献したいと思うのです。
Commented by foggykaoru at 2008-07-28 21:27
lamafeさん。
今までいろいろな地域を旅してきて、昨年初めてラテンアメリカ(メキシコ)に行きました。とても楽しかったのですが、実は少なからず違和感みたいなものも抱いたのです。
高度な文明が華開いていた地だったのが、力づくで征服されて、ヨーロッパ文化を押しつけられたこと、貧富の差が非常に大きくて、それが白人との混血のの度合いとかなり比例していること、等々にいちいち違和感というか、ある種の心地悪さを抱いたのです。
私はヨーロッパ贔屓なのですが、ラテンアメリカではヨーロッパの醜い歴史を目の当たりにすることになるんですよね。それでもマチュピチュの魅力に負けて、性懲りもなく(苦笑)ペルーに行くことにしちゃったんですが。

ペルーの庶民感覚からすると、スペインによる植民地支配も、その後のペルー政府による統治も、大差無いだろうなと想像します。

Commented by meadow02 at 2008-07-28 23:53
何で読んだか忘れましたが、アメリカだったと思うのですが、日本人に部屋を貸したことがある人は部屋を借りたい東洋人が日本人であると喜ぶというのがありました。綺麗に使うからということですが、信用できる店子になるということなのかなあと思います。

サグレスさんへの質問への横やりですが、生物多様性条約に批准してる国だとものの搬出が、双方の国に利益がある形でないと出来ないんじゃないかな。プラントハンターも微生物ハンターも居るだろうけど、個人や大きくない企業とかではやれないと思います。国同士の契約みたいのが必要になるみたいだから。そうなると他国で採集出来なそうですが、ちゃんと日本の機関で微生物の採集を外国まで行ってるのを知ってます。
かおるさん、ありがとうございます。ご心配おかけしました。
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