2009年 07月 20日 ( 1 )

旅ときどき沈没

蔵前仁一著。バックパッカー御用達の雑誌「旅行人」の発行人兼編集長である。

彼の本は敬遠してきた。
なにしろ私は「えせ」が付くバックパッカーだから、バックパッカーの王道を行く人の本は合わないんじゃないかと思いこんでいたのである。それが「旅行人」のルーマニア特集を買って読んでみて、この人、案外いいんじゃない?と思い始め、このほどようやくちゃんと読んだというわけ。

この本は、ひらたく言えば、「旅先での出会い集」。
ひとつのネタは本文2ページ+イラスト1ページ。
それが数十編(もっと多いかも)もあるので、一気に読むとちょっと飽きてくる。面白いんだけどね。
だから、この本はちびちび読んだほうがいい。忙しい人にお薦め。

旅をしまくって、おびただしい人と出会ってきた人でなければ、質・量ともに、これだけのネタをそろえることはできない。そういう意味で、かなりの元手のかかった贅沢な本だと言える。
でも、たとえ同じぐらい元手をかけても、こんなふうに書ける人はめったにいない。切り取り方がうまいし、視点がしっかりしている。はっきり言おう。この人はインテリだ。

実は読んで2週間ぐらいたっているので、記憶が薄れてきている。
覚えているのは2つの話だけ。

ひとつはトルコで「お前はツーリストだからこれ以上まけられない」と言われた話。蔵前さん、その明快な言葉に「はー、なるほど」と納得し、向こうの言い値で買ったんだそうだ。

もうひとつは旅先で出会った日本人旅行者の話。日本の誰でも知ってる新興宗教団体のところに一時期かよったけれど、「もう来るな」と言われる。しかたなくて彼はインドへ向かう。そしてナントカという団体に行ったのだけれど、そこでも「来るな」と言われ、今はひとりで密教の研究をしているという。普通は必死に逃げようとしても宗教団体に取り込まれるものなのに、向こうから断られるなんて。世の中にはすごい人がいるもんです。

そう、この本には旅行者の話が少なくないのです。
ひかりんの本と同じく。

安宿のドミトリーに泊まりながらの旅だと、少なくとも出会いの半分は旅行者との出会いになるんだろう。「えせ」の付くバックパッカーの旅だと、出会いの大半は地元の人で、めったに他の旅行者とは出会わない。そこが大きな違いだと認識しました。何をいまさら言ってるんだって声が聞こえてきそう・・・。


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by foggykaoru | 2009-07-20 22:59 | エッセイ | Trackback | Comments(6)