カテゴリ:ルポ・ノンフィクション( 103 )

インドでわしも考えた

椎名誠の代表作のひとつ。
今さらインドでいろいろ見聞きして考えたという本を読むまでもないような気がしていたのだけれど。

でも「今さら」で片づけなくてよかった。
面白い。
今さらなので想定内の面白さなのだけれど、それでも読ませるのが椎名氏の腕前なのだろう。

インド人は牛を粗大ゴミみたいに見ているのだそうだ。
神聖だからと言って「あがめたてまつっている」という雰囲気は皆無。
乳が出なくなっても肉牛として食べるわけにもいかず、捨ててしまう、つまり「野良牛」にしてしまう。
牛のほうは、老いさらばえて死ぬのを待つだけ。
まるでカルカッタの道端の年老いた貧民みたいだ。。。

あとがきは妹尾河童氏。
インドに行くときには「旅のキイ」を準備していけと。
妹尾氏の場合は「インドの紙幣」、椎名氏の場合は「3メートル空中浮遊するヨガ行者」だった。(行者には会えなかったけど)

イギリスの場合、私のキイは「ランサム」だ。
さもなければ「シャーロック・ホームズ」とか。
(実はあんまりよく知らないのだけれど)「アーサー王」とか口走ってみることもできる。
フランスも「ブルターニュのケルト」とか、「路地裏めぐり」とか、すぐに思いつく。
でも、インドはねえ・・・。

第一、私はいったいいつになったらインドに行けるのだろう?
「いつだって行けるじゃないか」と突っ込まれそうだけれど、季節とか、健康状態とか、いろいろあるのだ。
椎名氏のように、気温46度の中を旅する気にはなれない。体力もない。

でも、もしも行くことになったら、早急にキイをさがすことにしよう(爆) 

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by foggykaoru | 2010-12-10 21:21 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(10)

アジア罰当たり旅行

成田で出国したあと、週刊誌を買うことがちょくちょくあります。
「出国したあと」がポイントです。消費税がかからないから。

今回買ったのがこれ。文庫本。新刊ではめったに本を買わないのに。

著者は丸山ゴンザレスという人。
短い話ばかりなので、旅行中にちょこちょこ読むのにぴったりでした。
内容はタイトルどおり。ほんとに罰当たりな話ばかり。オモシロイ。
最後は南アの「天罰」。これまたほんとに天罰としか言いようがない。

これからバンコクあたりに飛んで、アジア旅行デビューしようとしている若者諸君。
この本読んでもかまわないけれど、真似して人生を棒にふっても知らないよ。

そして、絶対に親の目につくところに置いたりしちゃダメよおん。

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by foggykaoru | 2010-08-14 09:01 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(4)

世界一周ビンボー大旅行

下川裕治&桃井和馬著。
88年の世界一周ビンボー旅行をして、「12万円で世界を歩く」という本を出したコンビが、それから9年後の1997年、テレビ番組の企画として世界一周を再び行った記録。

「12万円~」の存在は知っているけれど未読です。
でも、何かと言うと「9年前はこうだった」という記述が出てくるから、こっちだけ読んでも2冊分楽しめる?というのは冗談だけど、読み応えがある。旅好き&海外事情に興味がある人にはお薦め。

コースは「船で上海→鉄道で北京→モンゴル→シベリア鉄道でモスクワ→ベルリン→パリ→ユーロスターでロンドン→空路でニューヨーク→グレイハウンド(バス)でロス→空路で成田」
しめて28日間。
別にスピードを追求しているわけではないので、連泊しているところもあるとはいえ、陸路にこだわるといまだにこんなに時間がかかるんだな。「80日間世界一周」以降、案外世界は狭くなってないような気がする。

バックパッカー界の大御所といえば、もう1人、蔵前仁一氏がいるけれど、あちらは「沈没」で名を売った人。
それに対して下川氏は、「移動」の中から垣間見る世界を描くという路線なわけで、つまりは身体を張った仕事ばかりで本当にキツそうだ。「御苦労様」と言いたくなる。

この本を読んで、今まで全然興味がなかったシベリア鉄道に乗ってみたくなった。楽しそうだからではない。その逆である。

しんと凍りついた世界(だいたいが、この旅は真冬に挙行されている。何を好き好んで?)の中で、家庭から持ち出した売り物を持って列車のつくホームにずらりと並ぶ寡黙な人々。売り物と言っても、ホームでの商売が禁止されているため、両手で持てるだけの、ほんのわずかなもの。警官が来たらポケットにしまって、「見送りに来ているだけです」というふりをしなくてはならないから。

今はどういう状況なのだろうか。
この目で見てみたい。
そして自分が何を感じるかを知りたい。
つきあってくれる人大募集!(爆)

この本、講談社文庫ですが、現在はユーズドでしか入手できないようです。


下川氏の他の本の感想文はこちら
「沈没派」蔵前氏の本の感想文はこちら
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by foggykaoru | 2009-12-04 21:45 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(3)

夏から夏へ

佐藤多佳子著。
「一瞬の風になれ」は小説だが、こちらはノンフィクション。
しかも、「推薦図書」とやらなのだそうだ。そういう帯やシールを見ると、とたんに気分が盛り下がってしまう私なのだが、我慢して読んでみたら、そんなに悪くなかったです(苦笑)

第一部は日本男子の4継(400メートルリレー)ナショナルチームの戦いぶり、第二部は選手たちへのインタビューが中心。

リレーのことを「一瞬~」で予習してあると、よりわかりやすい。
でも新鮮味は薄れるだろう。
実際、薄れました。

ディズニーフリークの友人とアメリカ旅行をしたときのことを思い出した。
オーランドのディズニーワールドに3日通い詰めたあと、ケネディー宇宙センターに行ったところ、よく作り込まれたまがい物の世界にどっぷり浸ってしまった私は、実際に宇宙を飛んできたロケットの雄姿を見ても、あまり感動できなかったのである。

というわけで、「一瞬~」のほうが楽しめた。少なくとも私は。
とはいえ、決してつまらない本ではありません。「一瞬~」が面白すぎただけのこと。

一番印象的なのは、トップアスリートの頭の良さ。
どういう分野においても、頭が良くないとトップクラスにはなれないし、道を究めた人というのは、一種の哲学者の域に達しているのだと思う。

日本のナショナルチームは、このインタビューの後、北京オリンピックで銅メダルを得たのである。あのときこの本を読んであったら、さぞかし感慨深かったことだろう。

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by foggykaoru | 2009-11-02 20:01 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(4)

天皇陛下の全仕事

巷で噂のこの本、私にしては珍しく新刊を購入。
銀の匙さんも紹介していらしたので、最近とみに物忘れの激しいこの頭(号泣)の中に、要チェック印をでかでかと付けて、忘れないようにしていたのです。

著者である山本雅人氏は、日経新聞で宮内庁担当記者だった人。学習院卒ということもこの本を書くきっかけの一つだったのかな。

要するに、天皇陛下というのは超多忙だということがよくわかる本です、というと身もふたもないけれど、実際そうなんです。

日本の報道はある意味、偏っているのではないでしょうかね。

大昔、イギリスで2週間ホームステイしたことがあるのですが、かの地では毎日王室メンバーの仕事ぶりが報道されていました。特に印象的だったのがクイーンマザー=皇太后の活躍ぶり。あのおばあちゃん、ほんとうによく働いていました。

でも、ニッポンの天皇陛下だってそれに負けず劣らずよく働いている。
「ナントカカントカの音楽会に御出になった」とか「葉山の御用邸でご静養」なんてことぐらいしか報道されないのでは、「われわれの税金を使って遊んでいて。いい身分だなー」というビンボー人のやっかみを呼ぶのがオチです。毎日のように仕事してるんだから、「どこそこの国の新任大使夫妻を接待した」と、毎日のように報道すればいいのに・・・なーんて思ってしまいました。

それに加えて、神事もたくさん。(これを報道できないのはしょうがないけれど。)
それにしても、70すぎたおじいちゃんには酷なのではないでしょうか。ご本人は使命感とプライドをもってなさっているのでしょうけれど。

仕事の中でいちばんの比重を占めるのが「人と会う」こと。
これはしんどいですよ。性格的に向いてなかったら地獄でしょう。
美智子皇后には合った仕事なのでは。将来クイーンマザー的なご活躍を期待します。
でも次期天皇陛下の奥さまは耐えられるのかしらん。


読んだあと、宮内庁ホームページで皇室関係者のスケジュールを確認してきちゃいました。

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by foggykaoru | 2009-09-26 21:20 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

草の海 モンゴル奥地への旅

椎名誠著。

この本、旅行に行く前日か前々日に古本屋で購入、読んじゃいけないと思いつつ、ついつい半分ぐらい読んでしまい、旅行で中断。帰ってきてから読了した。
どんな本だってそんなふうに読んじゃダメです。
一気に読んだら4倍ぐらいおもしろかったはず。

それでも、草原を吹きわたる風をちょっぴり感じた。。。感じたいと思った。来年はモンゴルにするか?なんてね。
でも、今は大西洋を渡ってくる海風を思い起こしながら自分の旅行記を書いているという事情があるため、微妙に混乱した気分にもなってしまいました。


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by foggykaoru | 2009-08-21 21:29 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(8)

紅茶の国 紅茶の旅

読むまでは知らなかったのだが、著者の磯淵猛氏は紅茶のプロ。
紅茶にかかわる旅の数々が綴られている。

まずは中国。
外国人が行けない町へ、特別の許可を得て行く。
これが面白い。
そういうときは「お茶の研究」なんて言ってはいけないのだそうだ。許可を得るならビジネスを名目にするのがいちばん。普通の国に角をたてずに入国するなら「観光」なのに。中国は普通の国ではないのだ。

お次はセイロン。
つまりスリランカへ、「紅茶ツアー」の主催者として、客を連れていく。
これも面白い。
スリランカにぜひ行きたいという気分にはならないけど(苦笑)、つくりたての茶葉で淹れた紅茶は飲みたくなる。
つい先日ようやく終止符を打ったと報道された、スリランカの内戦の原因がよくわかった。
スリランカの少数民族であるタミール人というのは、イギリス人が連れてきたのだ。彼らはスリランカの人々よりも従順で使いやすかったそうで。現在の世界で起こっている紛争の種の少なからずは、イギリスによるものなのだ。
私はイギリスのことがけっこう好きだけど、事実は事実。

そして、スリランカにおける紅茶の父と呼ばれる人がジェームズ・テイラー。
彼のふるさとスコットランドに飛ぶ。
エジンバラからタクシーで走り回るのだが、これもまた面白い。
旅のなかで、いちばん面白いのは「探索の旅」なんだなと実感。

特に紅茶好きでなくても、ノンフィクションが好きな人には大いに楽しめると思います。


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磯淵猛氏のプロフィールはこちら
氏の経営する紅茶のお店「ディンブラ」は藤沢にあるのだそうで。友人が話題にしていた記憶があるような無いような。(非常にあいまい)
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by foggykaoru | 2009-05-31 10:01 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(18)

「絶対音感」

一昔前、大変な評判をとった本。
読んでいた友人に感想をきいたところ、「絶対音感だけでこんなに長い本が書けるなんてたいしたもんだと思う」という言葉が返ってきたことを覚えている。
先日、古本屋で見つけて購入。
読んでみて、友人の言葉に納得した(笑)

この本を書くにあたり、著者は多くの音楽家に絶対音感についてのアンケートを送ったのだそうで、そうして得た回答が紹介されているのだけれど、「あなたは絶対音感があるか」という質問に対し、「はい」と答えた人々のレベルにはかなり差があるのではないか。

私の思う「絶対音感」とは、ほんの数ヘルツのずれも聞きとれて、すべての物音(←音楽に限らない)を音符で書きとれるというレベル。
聞こえてきた「音楽」を音符で書きとれるのは、そこそこ音楽をやっていれば当たり前のことで、その程度は「絶対音感」とは呼ばないのだと思っていた。だが、そのレベルの人が「私は絶対音感を持っている」と思っているということも、どうやらあるらしい。

で、「絶対音感」は音楽をやるうえで持っていると便利な技能のひとつにすぎない、でもがんじがらめになると、かえって困ることもある、というのが結論らしい。

ふと思ったのが、htmlタグ。
たとえば、ホームページを作成するとき、文字や背景をこんな色にしたいなあと思ったら、凡人の場合、「htmlタグ辞典」とか、「ホームページ作成支援サイト」のカラーコード一覧表の中で、気に行った色を選び、そこに表示されているカラーコードを入力する。
たとえばこのサイトこんなページ
でも、「絶対感(←そんな用語は無いと思うが)」を持っている人なら、「この間買った、あのワンピースの紫と同じ色の文字にしよう」と思ったら、カラーコード一覧表を見ることなく<#cc4d99>とタグ打ちできる、ということ。
でも、いくらそういう感覚が鋭くても、カラーコーディネートのセンスがなかったら、なんにもならないし、カラーコード一覧表に記載されていない色は限りなく存在するわけで。

ところで、我が国においては一時期、絶対音感がもてはやされ、学校の音楽の授業でもピアノをポンと弾いて「この音は何ですか」ということをやったのだそうだ。
それは私の母の子供時代にあたる。

母は自分が音痴だと思い込んでいる。(私に言わせれば音痴のうちには入らないのだが。)
それというのも、先生が弾いた音が「ド」だか「レ」だか自分にはさっぱりわからなかった、ピアノを習っている友人は聞き取れたのに、という理由で。
私はというと、学校の授業では、ついぞそんなことをさせられたことがない。
どうして戦前なのにそんな高級な授業をやっていたのかと、かねがね不思議に思っていたのだが、この本を読んで謎が解けた。

戦前の絶対音感教育のせいでコンプレックスの塊になった母は、「我が子には自分のような思いをさせたくない」という一心で、私にピアノを強いたのである。
その結果、今の私がいる。
友人のクラリネットによる「Many meetings(さまざまな出会い)」のピアノ伴奏をしたり、友人たちのティンホイッスルやバイオリンと一緒に「Concerning hobbits(ホビットについて)」を演奏して幸せに浸る、今の私が。

思わぬところで、「自分という人間のなりたち」の一部が明らかになった。
ありがとう絶対音感(爆)

この項の続きはこちら


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by foggykaoru | 2009-04-14 20:48 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(24)

アフリカにょろり旅

友人が貸してくれました。

「にょろり」というタイトルにドキドキしてしまったが、ウナギのことだった。
著者は青山潤という人。東大海洋研究所所属の研究者である。海外青年協力隊あがりの彼が、アフリカにウナギを探しに行く旅である。

とても読みやすい。
けれどとにかくハードな旅です。

「このあたりで見つかったらしい」という情報だけを頼りに、マラウイ、モザンビーク、ジンバブエを走り回る。
いつ、どこで出会えるとも知れないのだから、限りある研究費をできるだけもたせなければならない。
よって、移動は公共の交通機関つまりバス、そして宿泊するのは安宿である。
趣味のバックパッカーだって、このあたりは楽に旅できるところではない。
さらに「ウナギを見つけなくてはならない」という使命に縛られているのだ。(特にモザンビークはシャレにならないほど物騒で、使命感がなかったら行けるところではない。)
まさに命を削りながらの旅。

そこまでやって、得られるものは何か。
「謎を解明した」ということで、達成感は得られる。
その専門領域における名声も。「ウナギの研究に関して世界でトップレベルの研究チームの一員」という名声である。
でも、金銭的には何もない。

世の中にはこういう人たちがいて、命をかけて世界の真理を追求している。

尊い仕事だと思います。
でも、もしも自分が著者の親だったら、「お願いだからやめて」と泣いて頼むかも。
そこまでしなくても、少なくとも、溜息をつくだろう。「なんでこの子はこんなふうになってしまったのだろう」と。

そういえば、以前高地考古学者の本を読んだときも同じようなことを感じたのでした。

そういう人たちが頑張っているのに、私を含めてほとんどの人は、のうのうとお茶飲みながらテレビを見ているだけ。
いやー、ほんと、いつもどうもすいません。


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by foggykaoru | 2008-10-29 20:10 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(8)

「クミコハウス」

「クミコハウス」でピンときたあなたは旅人です。
インドのバラナシにある、有名なゲストハウスのこと。
著者の素樹文生という人は知らなかったのだが、古本屋でこのタイトルに惹かれて買ってしまった。

クミコハウスに関わる話だけではなく、著者のアジア放浪体験の中から切り取られた数々のエピソードを集めた本。

冒頭は往年の上海の浦江ホテル。
私が泊まったときには、すでに高級ホテルへの道を歩み始めた後だったが。

ペルーから帰った直後に読んだせいか、アジア放浪の放つ独特の匂いを強く感じた。
放浪するならやっぱりアジアなんだよね。私たちはアジアの民だし。

今さら放浪する勇気も気力も体力もないけれど、ちょっと羨ましく思ったりもさせられる、そんな本。

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by foggykaoru | 2008-08-22 21:16 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(8)