カテゴリ:ルポ・ノンフィクション( 103 )

はい、泳げません

高橋秀実著。
泳げない著者が、水泳を習うお話。

私だって大して泳げないけれど、
いやー 水が怖い人ってそうなんだー 
とびっくりさせてくれるところがたくさん。

水の中って、全く違う世界だからこそ、素敵だと思うのに。

コーチは手を変え品を変え、教えてくれる。
でも著者は、そのいちいちにひっかかる。とにかく理屈っぽいのです。

たまにうまくできると、「できた!」という嬉しくなる。
その嬉しさを噛みしめるために、立ち上がる。
それを見たコーチ、「なんでそこで立つかなあ」とため息をつく。

という感じの本。面白いです。

ほんとに、なんでそこで立つかなあ・・・

それにしても、著者は東京外語大卒なんですね。ふーん。

というのは、いちいち理屈でひっかかるのは、語学上達には損なタイプだから。少なくとも、初級の頃は、言われたことを素直に覚えるしかない。
私は世間一般の平均よりも、多くの外国語をかじっているので、外国語を学ぼうとして語学学校に集ってきた人にも比較的多く出会っている。
その私の経験から言うと、外国語習得、少なくとも初歩レベルの習得に関しては、女性のほうが男性よりも向いている。(あくまでも一般論)
男性はどうでもいいところでひっかかる。(あくまでも一般論) 理屈っぽい。
理屈でひっかかっても意味無いのに。なにしろ「ネイティブがそう言っているから」で終わりなんだから。
上級レベルになったら、理屈っぽさは逆にプラスになるんですけどね。

だから著者は語学向きじゃないな、と思ったのです。(でも男性としては普通だということ)


高野秀行の「腰痛探検家」に通じるところがあって、著者の「弱くても勝てます」に迫る面白さです。
でも、紙媒体の本は、ユーズドでしか入手できないんですね。
Kindle版は440円ですって。
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by foggykaoru | 2015-06-24 21:40 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

不可触民

副題は「もうひとつのインド」
著者の山際素男は「マハーラーバタ」の翻訳で賞を受賞した人だそうだ。

不可触民(不可触賎民という言い方のほうが普通?)の実態に迫ったリポート。

以前、「女盗賊プーラン」を読んだときのショックほどではないけれど、やっぱり衝撃的。
すさまじいです。
他人様の信仰についてどうこう言うべきではないのでしょうが、ヒンズー教、カーストというのは問題だと思います。(バリ島もヒンズー教だけど、あそこはちょっと違う。かなりユルイ。なにしろ牛肉も食べちゃうんだそうで)
言うなれば、インドという国は、国をあげて「いじめ」を黙認、奨励しているようなもんです。

なんだかんだ言って、「愛の宗教」を自称するキリスト教は悪くない。
キリスト教にだって負の歴史は山ほどあるけど、「お前たちにはマグダラのマリアをさげすむ資格はない」とか言ったイエス様はかなり偉い。

昔、何かで読んだけど、日本にキリスト教の宣教師がやってきたとき、日本の民は自らの手を汚して働く宣教師の姿を見て、「この人は偉い」と評価した。
でも、インドで同じことをしたら、全く尊敬されなかった。
インドの人々は「あんなことは下位のカーストがやること。自分でやるなんてどうかしてる」と思ったので、とても布教しにくかったんだそうで。
確か、ザビエルってインドで死んだのですよね。きっと失意の中で。

ガンジーなんかダメ、だそうです。
彼は不可触民のことを「ハリジャン=神の子」と呼んだそうですが、それは「おためごかし」である、と、一部の目覚めた不可触民は口をそろえる。

不可触民の中には、イスラム教や仏教に改宗する人が少なくない。(その結果、イスラム教徒や仏教徒がさげすまれることがある。)
だから、パキスタンが分離独立したのは、イスラムだから、というよりも、カースト社会から脱却するためだったという側面があるのだそうです。

インドを個人旅行していて、いろいろ被害に遭う女性の話をちょくちょく聞きますが、「虫けらのように扱ってもかまわない人間」の存在を当たり前とする環境に育ったら、たまたま出会った異国の女性をどうしたってかまわない、という気分になりやすいはず。

インドって今、経済成長著しいそうで。
中国の経済成長にかげりが見え始めた今、これから投資するならインドだ、とか言われます。
でもインド国民の4分の1が不可触民なんですって。
数億の人々が常に飢えていて、農奴、あるいは家畜同様の扱いを受けている国。
もしかしたら、家畜以下かも。なにしろ死んだって惜しくないんだから。
そういう国が経済成長するって、何なのかなあ。

この本に関する情報はこちら


ついでに「女盗賊プーラン」に関する情報はこちら
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by foggykaoru | 2015-06-18 21:51 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(4)

トラウマの国

高橋秀実のルポ、と言うべきなのかな?
ルポの短編集というのも変だが、そんな感じ。
1篇は20ページ足らず。さらさら読めます。
で、読んで早1週間以上。もう全部忘れてる(涙)

いや、一つだけ覚えていた。
この本が書かれたのが「ゆとり教育」の時代で、それをテーマにしている1篇もあるということ。
一番できない子に合わせるから、ほとんどの子供が授業中、退屈し切っている、という様子が描かれてました。
妙に懐かしさを感じつつ読みました。
ほんとにあれはどーしよーもないものだった。

この本はユーズドでしか買えません。
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by foggykaoru | 2015-06-09 21:03 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

モンゴル紀行

司馬遼太郎「街道をゆく」の第五弾。
1978年、つまりソ連健在なりし頃のお話。
日本→ハバロフスク→イルクーツク→ようやくウランバートル という旅程で、当時のソ連が聞きしに勝るストレスフルな国だということがよくわかる。
誰かさん(←もう忘れてる)が「ソ連は今残っている唯一の外国」と言ったんだそうだ。つまり、他の国とぜんぜん違うということ。

違ううちに行ってみたほうが、辛くても興味深かっただろうと思うと、何か損した気がしないでもない・・・と思ってしまう、性懲りの無い私。

ソ連がそんな国になってしまった要因の一つとして、モンゴルの騎馬民族があるかも、と司馬さんは言う。
なんでも、ロシアが国の体をなす以前に、モンゴル騎馬民族がやってきた。
モンゴルはロシアの民をは徹底的に搾取し、「タタールのくびき」という表現を残した。
そして、ロシア人は「国というのはそういうもの」と刷り込まれてしまった。
これがソ連という国家にも脈々と続いているのかも、と司馬さんは思ったのである。

多民族を徹底的に抑圧したモンゴルだけれど、騎馬民族のおおらかさというものがあった。
だから社会主義国家となったモンゴルは、ソ連とは違って、人々にとって居心地の良い、ゆるやかさのある国になった、とか。

司馬さんは数学ができなくても入れた大阪外国語学校蒙古語学科で学んだ。ろくすっぽ教材の無い状態だったので、学生が自分たちで辞書を作ったんですって。印刷会社にもわたりをつけて。単語集に毛が生えた程度だったらしいけれど。元気でいいなあ。
モンゴル語は言語学的に、けっこう日本語に近いらしい。それがキリル文字を採用しちゃったんだ・・・うーむ。

馬乳酒ばかり飲むのは、それが乾燥した地域では、水分をとる手っ取り早い方法だから。
そんな気候風土が私の身体に合うとはとても思えないけれど、やっぱり1度は行ってみたい。

古い本だけど、ちゃんと増刷されている。さすが司馬遼太郎。
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by foggykaoru | 2015-05-31 07:34 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

ガンジス川でバタフライ

たかのてるこという人の旅行記。
この人の本はわりとよく目にするので、気にかけていた。

旅を始める前の彼女は、ものすごい怖がりだったという。
でもこんな自分じゃダメだ!と思い切った。
旅好きの兄がいたというのも大きい。

思い切ったらいきなりノープランの旅なんだから。
信じられん。

もっとも、彼女には大きな武器があった。
それは大阪のお笑いのノリ。
羨ましいなあ。そういうのを持ち合わせている人って。

旅をしているうちに、「一期一会」ということを強く感じるようになり、、、
うんうんそうだよね。
大阪のお笑いのノリがなくて、彼女ほど多くの出会いに恵まれていない私ですらそう思う。
でも、一期一会は旅先だけのことではない
人生すべて、日常生活すべて、一期一会なんだよ
と思いながら読んでいたら、彼女もやがてそう思うようになる。

ガンジス川でバタフライをしてもお腹を壊さなかった彼女は、この後、世界を旅するようになるわけで、本も何冊か出している。
読もうかな。
この本、とっても面白かったし。

でも、1回読んだらもう2度と読み直せない本なんです。
私はけっこう読み返すんです。
全部読み直すことはあまりないけれど、パラパラめくってエピソードの一つか二つを読み返すことはしょっちゅう。
でもこの本はそれすらできない。
読んで、笑って、読み終わって、本をとじたらもうおしまい、という本なのでした。

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by foggykaoru | 2015-05-05 07:05 | ルポ・ノンフィクション | Trackback(1) | Comments(0)

恋するソマリア

高野秀行著。
「謎の独立国家ソマリランド」の続編。

うまいタイトルですなあ。

賞をとった「謎の~」の「柳の下」を狙った本かも・・・
と多少心配していたのですが、大丈夫でした。高野節、絶好調。
久しぶりの高野本で、こちらに飢餓感があったということもあるだろうけれど、大満足でした。

しかし、ここまで入れ込んだソマリランド&ソマリアだけど、これ以上突っ込んでいくと、命がいくつあっても足りなくなるかも。
高野本が読めなくなるのは嫌だから、あんまり無理しないでね>高野さん


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by foggykaoru | 2015-02-18 21:01 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

モゴール族探検記

この本読んだのはたぶん1か月ぐらい前。
感想文を書くのをすっかり忘れてしまっていた。

著者は国立民族学博物館の初代館長だった梅棹忠夫氏。
アフガニスタンにわずかにいるという、モンゴル帝国の末裔を探し回った旅の記録。
(wiki見たら、1956刊のこの本は梅棹氏にとって初めての著作だった。)

あえて学術的なことは避けて、一般向けに書かれた本なので、かなりざっくばらんな語り口で読みやすい。でも昨今のチャラい文体の本を読みなれた目には地味な書きぶり。なにしろほとんど60年前の本なのだから、比べちゃいけない。

高野秀行氏はきっとこういう人になりたかったんだろうな。

その後、アフガニスタンの情勢は紆余曲折。
もはや調査に訪れることもできないところがたくさんあるだろう。

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私はユーズドで購入したけれど、今も版を重ねているなんてすごい。
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by foggykaoru | 2014-11-24 17:23 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

イザベラ・バードの旅

副題は「『日本奥地紀行』を読む」
宮本常一という大学の先生による講演を原稿に起こしたもの。
明治時代に日本を旅したイギリス人女性イザベラ・バードが書いた「日本奥地紀行」を読んでみようかと書店で手にとってみたのだけれど、ぶ厚くて、しかも文字がぎっしりだったので、一目でメゲて、その隣に置いてあったこちらで誤魔化すことにした(苦笑)

講演の記録だから、実に読みやすい。しかも面白い。
こっちにして正解。

イザベラ・バードのことは知っていたけれど、たいした旅行者だ。
なにしろ当時の日本の田舎は蚤の巣窟だったそうで。
シュリーマンは清国と比べて日本は清潔だと絶賛してくれたけれど、蚤のことは書いてなかった気がする。彼は日本の中でも先進地域しか旅しなかったのかも。(この本のことです。超お薦めです。)
田舎は貧しかったから、人々は風呂にもろくに入らず、着物も1年中着たきり雀だったそうで。

オーストラリアに蠅が多いなんて文句言ってたら、天国のイザベラさんに怒られる(笑)

興味深かったのは、「日本の店は通りに面して開かれている」という点。(語源的に「店」は「見せ」なのだそうだ。)
今のアジア諸国の店がまさにそんな感じ。
その他いろいろあったような気がするけれど、読んだとたんに忘れてしまった(涙)
とにかく、明治時代の日本は今の日本よりもはるかに「アジア」だったんだなあとしみじみ思った。(当たり前な感想ですいません)


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by foggykaoru | 2014-10-13 16:44 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(6)

「弱くても勝てます」

副題は「開成高校野球部のセオリー」
著者は高橋秀実。
高野秀行氏がこの人に「エンタメ・ノンフ(ィクション)」の書き手として高い評価を与えているので、「からくり民主主義」と「素晴らしきラジオ体操」を読んだ。
どちらもまあ面白かったけれど、高野さんの本ほど面白くなかった。
テーマの問題なのかな、とも思ったりした。
なにしろ私は外国好きだから。

というわけで、この本、あまり期待せずに読んだのだけれど、予想以上に面白かった。
期待しなかったのがよかったのかな? 
ドラマ化されてたんですってね。

何が面白いって、取材対象の開成の野球部員が面白い。
練習時間が限られているから、そのぶんいろいろ考えるんだけど、元来考えるのが好きな子たちだから、もう本当によく考える。時には堂々巡り的にもなるけど。そして考えたことを言語化できる。
監督もすごい。頭のいい部員を指導するには、言語で刺激を与えることができる頭脳の持ち主人じゃなくちゃ。

監督は「野球は無意味」と言い放つ。新鮮。
考えてみればクラブ活動なんてものは、本来、意味なんか無いんじゃないか。
「クラブ活動を通して人間形成をする」なんていうのは、後付けかも。
「授業外でやりたい子が集まって好きなことをやる」だけのこと。
それで何が悪い?

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by foggykaoru | 2014-10-06 21:59 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(4)

メコン・黄金水道をゆく

椎名誠がラオスの奥地からメコン川を下っていくルポ。

今までに読んだ椎名誠の旅関係本の中ではいちばん退屈だった。
期待しすぎだったのかな?
ずっと川をくだっていくわけじゃなくて、途中は飛行機だったりするのにがっかりしたのは確かです。

それとも、ある程度自分が知っているところだから、大して発見がなかった?
椎名さんにしては妙に真面目な筆致だから?

いやいや、単に私の頭が疲れていて読書を楽しめなかったのかも。

熱帯雨林のレビューでは絶賛されてます。こちらです。
だから、興味のある方はぜひ。
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by foggykaoru | 2014-09-27 08:16 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)