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「坊ちゃん」はなぜ市電の技術者になったか

「テツ」として知られる英文学者・小池滋が、日本文学における鉄道ネタを追究するエッセイ。
扱われているのは表題の夏目漱石、田山花袋、永井荷風、佐藤春夫、芥川龍之介、宮沢賢治、山本有三。

おもしろい。
なにしろ「テツ」だから、鉄道ネタを調べるのは全く苦ではないのだろうけれど、日本文学は専門外なのに、ほんとにすごい。
佐藤春夫の「田園の憂鬱」なんて、まさにミステリーの謎解きだし、芥川の「蜜柑」という作品は、その作品の読み方自体が変わるかもしれないような大発見なのではないか。
宮沢賢治についての見方も大納得。

この本を出すきっかけは、表題作のほんの頭だけ、とある雑誌のエッセイとして発表したら、それを読んだ編集者が「こういう本を書きませんか」と企画を持ってきたそうだ。
腕利きの編集者というのはそういうものなんだろうな。

ところで、永井荷風なんて、いまどき読んでる人、めったにいないだろうけど、案外お薦めです。
手にってみて読めなかった作品も少なくないんだけど、「腕くらべ」か「おかめ笹」(←どっちだか忘れた・・・汗)、そして「つゆのあとさき」「墨東綺譚」をこの順番で読んだら、東京という町の変遷がよくわかって、なかなかでした。
水商売の女性を扱った作品なので、学校の先生は決して薦めないでしょうけれど、おとなのあなたにはよろしいかもよ。




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by foggykaoru | 2018-01-25 09:51 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

楽園のカンヴァス

最近本屋でよく見かける原田マハという人の小説。
古本屋で300円で購入。

なかなかでした。
この人の作品は他のも読んでみたいと思いました。
でも、近所のブックオフでは300円じゃ買えないんです。
どーしよーかなー
えっ、ちゃんと本屋で定価で買えって?(自爆)

美術ミステリーの一種です。
解説はなんと美術界の大御所・高階秀爾先生なのだけれど、彼をして「こんなミステリーは他にない」と言わしめた。

ほんとにそう。
こういうミステリーもあるんだなという感じ。
原田マハってただものじゃない。

でも、ある程度、美術(ルソーとピカソの絵画)の知識がないとちょっと苦しいのかも。
というのは、正月に実家に行くときに持っていって、実家で読み終わったら、母が読み始めたので貸してきたんです。
「面白い。でも難しい。正月休み明けに図書館に行って、画集を見ないとよくわからない」というのが読み中の母の感想でした。

ちゃんと読み終わったのかな。
今度きいてみよう。










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by foggykaoru | 2018-01-18 22:21 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

オーブランの少女

以前読んでいたく感心した「戦場のコックたち」を書いた深緑野分のデビュー短編集。

舞台はフランス、イギリス、アメリカ、日本、そしてどこか北の国。

表題作はカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」に似たイメージ。悪くないけど、グロい。

上手なんだけど、読み返す気にはなれないな。
唯一、北の国の物語だけはちょっとだけ読み返した。
これもグロいというか、あくどい感じなんだけど、一種のファンタジーなので、息抜きができた。

お薦めするのは断然「戦場のコックたち」のほうです。

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by foggykaoru | 2018-01-17 19:34 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

卵の緒

瀬尾まいこ作。
「卵の緒」と「7's blood」という小品が収録されている文庫。

前者はこの作家のデビュー作なのだそうだ。
どちらも、この人ならではの(というほど読んでいないんだけど)ほっこりする作品。
軽い味わいだけど、「人と人のつながり」を考えさせてくれる。

瀬尾さんの作品は、1つ読んだらぜひ他の作品も読みたいと思うほどの吸引力は(私にとっては)無いんだけれど、多くの愛読者を得ているのには納得です。



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by foggykaoru | 2018-01-10 20:10 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

夏の名残りの薔薇

「名残りの薔薇」という表現をはじめて知ったのは、アン・シリーズ。たぶん「アンの夢の家」じゃなかったかな?

今をときめく恩田陸の小説。
蜜蜂とナントカというのが、なんとか賞をとったんでしたよね?
というくらい、不案内な私ですが、古本屋で見つけたので、読んでみることにしました。

びっくりでした。
ミステリーを期待して読んだら、いやいや。
謎解きなんかじゃない。できない。何が本当なのかさっぱりわからないし。

だからタグは「ファンタジー」としておきます。

いろいろいわく因縁のある人々が古い山奥のホテルに集うという舞台設定がとっても好みです。
面白いことは面白かったんですが、普通の謎解きのほうが私は好きです。








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by foggykaoru | 2018-01-07 20:33 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

我が名はエリザベス

著者は入江曜子。
副題は「満州国皇帝の妻の生涯」

ずいぶん前から存在だけは知っていて、ずっと気になっていた本。
なにしろ映画「ラスト・エンペラー」を観てますから。
しかもその後、愛新覚羅溥儀の英国人家庭教師ジョンストンの書いた「紫禁城の黄昏」も読んでますから。

あの人の妻なんだから、ろくな目にあわないんだよね、キツイよね・・・と思って、古本屋で見つけて手にとってはまた棚に返して・・・を繰り返していたのだけれど、落ち着いて本を読む時間がとれそうだったので、思い切って購入。

「ノンフィクションノベル」という、意味不明なキャッチコピーがついている。
一人称で書かれているから明らかに小説。でも、ノンフィクションっぽい。
新田次郎文学賞を受賞したというのは納得です。彼もノンフィクション的な小説をたくさん書いた人だから。

主人公はフランス租界で西洋文化に染まって育つ。
そんな少女が清国(の元)皇帝の后になるのだ。耐えられるはずがない。
きっと纏足もしてないはず。それに関しては何も記述が無いんだけど。

予想どおり、主人公にとって、不幸なことばかりが起こる。
予想どおり、アヘン中毒になる。
そして、野垂れ死に。

予想どおり、キツかった。
でも、なかなか面白かった。一気読みでした。

そして、
映画「ラスト・エンペラー」はとても面白かったけれど、かなりきれいごとだったんだなとこの本を読んで感じました。
「紫禁城の黄昏」も、真実の一部しか書かれていないんだろうなと思いました。
もっとも、すべての真実を知るなんてことは、なかなかできることじゃない、たぶん不可能なのだろう・・・
などと、いろいろなことを思ったのでした。







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by foggykaoru | 2018-01-05 22:39 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)