羆撃ち

表題は「くまうち」と読みます。
最近、猟師ものを読んできたが、これが集大成?になるのかも。
久保俊治というハンターの自伝。

北海道に生まれ育ち、日曜ハンターの父親に猟の手ほどきを受け、プロのハンターになる。
若いときは本当に猟1本で食べていた。
そういう人だから、極限に近いような経験も多々しているんだけれど、普通、そういう人が自分の体験を人に読ませるだけの文章で書けるかどうかというと、たいていは書けない。
この人は貴重な例外。読ませます。
読んでいて息がつまるような瞬間もたくさん。

自分の理想となる猟犬も育て、一緒に猟にでかける時期もあったが、やがて別れがくる。

読んだあと、検索してみたら、この作者はハンター界のレジェンドみたいな人で「情熱大陸」や「プロフェッショナル 仕事の流儀」などに出演したことがあるのだそうだ。
観たかったなあ。

繰り返しになるけれど、息がつまるような現実はちょっとキツイです。
で、「猟師の肉は腐らない」を再読して、息を抜いた私でありました。


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# by foggykaoru | 2018-05-20 19:55 | 伝記・評伝 | Trackback | Comments(2)

政と源

三浦しをんの小説。

特に彼女の作品を贔屓にしているわけではないのだが、「月魚」が面白かったのでもう1冊、と。

政と源は幼馴染のおやじ2人の名前。
下町の人情をたたえた、なかなか良いエンターテインメントである。
なにより感心したのは、主人公(政だったっけ?もう忘れてる(汗))の心情描写。
よい亭主だったつもりが、妻に出ていかれてしまっている。離婚まではしてないけど。
いったいなぜ!?

あと、下町っぽいおやじ中心の話というと、有川浩の「三匹のおっさん」を思い出すのだが、三浦しをんは段違いに文章が練れている。美しい。

やっぱりあなどれないぞ三浦しをん
と思わせた作品でした。



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# by foggykaoru | 2018-05-12 09:21 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

フラテイの暗号

作者はヴィクトル・アルナル・インゴウルフソンというアイスランド人。
で、フラテイとは、アイスランドの小さな島の名前。
最近、面白い推理小説を探していたら、たまたまこの作品を知り、
うわ~、アイスランド人じゃ~ん!
と嬉しくなって、ユーズドをネット注文。
そしてその翌日、たまたま古本屋に行ったら、同じ作者のこの作品を見つけて
なっ、なにっ、、フラテイだとっ!!

驚愕したのには訳があります。

昨年の夏、アイスランド旅行をしました。
首都レイキャビクから、かなりポピュラーなコースを回ったのですが、一か所だけ、全然ポピュラーではない場所に行ったのです。
それがフラテイ島。

フラテイ島のことは日本のガイドブックには出ていません。
ロンプラで見つけたのです。
ただでさえ、日本人があまり行かないアイスランドですが、アイスランドに行く日本人旅行者のうち、フラテイにまで行くのは1パーセントにも満たないのでは。

で、この本ですが、1960年代のフラテイを舞台にしているということで、今とはかなり違います。
でも現存するスポットがいくつも出てきます。
インフォメの女性がなにげなく説明してくれた「あれ」や「これ」
もしもすでにこの本を読んでいたら、「をををっ!」と感動したことでしょう。
遠くから眺めるだけでは満足せず、すぐそばまで行ったことでしょう。
ああ、なんて惜しいことを・・・(涙)

フラテイに行ったことのない方、これからも行かない方も、推理小説が好きなら十分楽しめます。

ちなみに、アイスランド語からの直接の翻訳ではなく(日本にはアイスランド語の翻訳者は存在しないのかも)、ドイツ語版からの翻訳だそうで。

途中にドイツ語が介在したということとは関係ない話ですが、この本の翻訳はかなり大変だっただろうと思います。
というのは、この本では「フラテイの書」という書物に秘められたメッセージを読み解くという部分があり、「単語の中の何文字目か」というのがポイントになるのです。
つまり、アルファベットで何文字目か、ということです。
それを日本語でやってのけたのです。
ということは、「かな」で何文字目か、というふうに変換したのです。

すごい。すごすぎる。


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メインサイトでアイスランド旅行記を連載してます。
最近、いろいろフクザツな事情があり、更新間隔が長くなってしまいましたが、このGW中にようやく復活いたしました。
フラテイ島についても、そのうちにアップいたしますので、気長にお待ちください。






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# by foggykaoru | 2018-05-06 21:37 | 推理小説 | Trackback | Comments(0)

猟犬クラブ

英国の作家ピーター・ラヴゼイの推理小説。
彼の作品はいくつか読んでいるが、けっこう好み。

この作品はバースが舞台だというので読んでみた。
残念ながら、バースっぽいスポットが登場するわけではない。
シリーズ2作目だというから、もしかしたら第1作目でそういうものは出尽くしてしまったのかも。

「猟犬クラブ」とは、推理小説ファンのクラブの名称。
訳アリ感のある、癖の強い人々が出てくる。
ついつい、自分が所属している英国某作家ファンクラブと比較してしまうのは、私の勝手です(笑)

密室推理は出尽くした感があると言われているけれど、その謎解きを読むと「ほう!頑張ったじゃん」(←何を偉そうに)

期待した程度に面白くて、悪くなかったです。






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# by foggykaoru | 2018-05-04 06:54 | 推理小説 | Trackback | Comments(0)

みちのくの人形たち

深沢七郎の短編小説集。
実は途中でやめました。
今まで読了した本しかポストしてなかったんですが。

この作家、「楢山節考」を書いた人だよね、、という認識はあったのですが。
で、「楢山節考」というのは、きっと私の好みではないと思い、映画も観ようとしなかったし、原作にだって手を伸ばさなかったのですが。

今回この本を読んで・・・

いや、もうまったく、ほんとにそういう感じ。

暗~い。貧しさ。悲しみ。モラルを超越した何かがじっとり。
人間の心の奥底に存在する真実。「業」っていうやつ?
でも目をそらせてはいけない。

そういうものを描く作家として、彼は独自の地位を確立したんだろうけど、私はこの本を3分の2くらい読んだところでお腹いっぱい。

作風が合わないというのが大きいけれど、文章も気に入らないんです。
読んでいて赤を入れたくなるところがちょいちょいある。
それがなかったら、なんとか読了しただろうと思います。



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# by foggykaoru | 2018-04-30 20:37 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

京都ぎらい 官能編

井上章一による「京都ぎらい」の第二弾。

二番煎じだし、いまいちかも・・・と思いつつ読んだのは早数週間前。
もうほとんど忘れてしまったが、それなりに面白かった。

いちばん印象的だったのは第五章「共有された美女」
(ていうか、この章しか覚えていない・・・(涙))

後深草上皇と、その側室・二条、そして彼女に群がった多くの男たちの話。
二条という名前と、彼女が書いた「とはずがたり」という題名などはなんとなく知っていたけれど。
そして、当時と今とでは性道徳が全く違うけれど。

ひょえ~と思いました。

後深草という人は、ひ弱なキャラとして知られているそうで。
でも、著者はもっと深読みします。そこが面白い。

興味がおありの方はぜひ。

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# by foggykaoru | 2018-04-29 17:54 | 日本の歴史 | Trackback | Comments(2)

黒後家蜘蛛の会

アイザック・アシモフのとても有名な短編推理小説のシリーズ。
読書好きな友人たちに「必読!」と言われること数年。
図書館で見つけて読み始め、このほどめでたく読了しました。

なんとなく、アシモフって大昔の人かと思っていて、この本も大昔の本かと思っていたら、日本で刊行されたのは1980年代だったんですね。
読んでいなかったのが不思議な気がしたけど、よく考えれば、私がクリスティーやらクイーンやらをさんざん読んでいたのは1970年代だったんでした。

アシモフはクリスティーが好きなのだそうで。
私の好みに合わないはずがない。

ただ、面倒くさくてよくわからなからないと読み飛ばしてしまうという悪癖があり、理系の話は面倒くさいという純粋文系の頭である私は、SFっぽいネタは飛ばし読み。

でも幸いなことに、このシリーズは言語ネタのほうがずっと多い。こっちは得意です。
中には推理があたったものもあります。(知恵遅れの女性がからむ話。)
もうひとつ、「指輪物語」ネタもすぐにわかりました(^^;

もっとも、このシリーズの醍醐味は、推理自体よりも、メンバーたちの会話。
そして各編の後にある、アシモフ自身による解説。

このシリーズ、今後も再読したくなるような気がするのですが、問題がひとつ。
文字が小さすぎます。読む気力が失せる。
高齢化が叫ばれる昨今、文字の大きい文庫版「指輪物語」を再刊行した評論社を見習ってほしいです。




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# by foggykaoru | 2018-04-26 21:39 | 推理小説 | Trackback | Comments(4)

月魚

三浦しをんの小説。
古書店を営む若者と、その幼馴染である「せどり屋」の物語。

うーんおもしろい。
同じ古書店がらみの小説として、「ビブリア古書堂の事件手帖」があるけれど、こっちのほうが断然おもしろい。

で、なにがおもしろいって、2人の若者の関係性。
BLではないのだけれど、その香りが濃密。
そーゆー記述は一切無いんです。念のため。
でも、さすが「腐女子」を自称する三浦しをん。
書いてないことを想像させるのがうまい!










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# by foggykaoru | 2018-04-24 21:03 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)