
泣く子も黙るジブリアニメ「ハウルの動く城」の原作。
老婆に変えられてからのソフィーの心理描写がいい。
「実際に年を取ってみたら、思っていたほど恐ろしいことではないし、却って楽なこともある」
うんうん、この感じ、わかるなあ。身体のあちこちにガタがきたりもするが、年をとってからの人生というのは、意外に楽しいものだなあと、私は実感している。(まだ90歳にはほど遠いひよっこの私がこんなことを言うと、ソフィーに笑われるかもしれないが。)
若いお嬢さんたち、オバンになることを恐れることはないのですよ。
感受性が鋭くて吸収力のある子供のときに、この本を読んで、そういうことを知っておくのは、悪いことではないと思う。物事を多面的に捉える助けにもなろう。
それにしても、こんなふうに書けるのはオバンに違いないと思ったら、作者が52歳の時の作品だそうだ。やっぱりね。
このソフィーの気持ちを、アニメではどのように表現しているのだろうか。一番簡単なのは、台詞で直接言わせることだが。
また、この作品を映像化するには、魔法使いハウルを魅力的に描けなければお話にならないが、この点に関しては、既にアニメを観た友人たちが「彼を観るだけでも、十分観に行く甲斐がある」と言っていたので、きっと大丈夫なのだろう。
個人的には、スライスしたタマネギの輪っかをハウルが指でくるくるする場面が妙に印象に残ったのだが、アニメにはそういう場面はあるのだろうか? たぶん無いだろうな。
この本を読んだ直後、ひょんなことから「7リーグ靴」という題名のフランス文学作品を見つけた。(原題"Les bottes de sept lieues") マルセル・エーメ作の短編である。まだ最初の数ページしか読んでいないが、舞台は現代のパリのモンマルトルで、子供たちが「おい、古道具屋に7リーグ靴が出ているぜ」とか言っている模様。最後まで読むかは未定。元気があったら読みます。なにしろ原書なので(汗)
7リーグ靴のことが気になったので、さらに調べてみると、イギリスの「親指トム」と、フランスの「親指小僧」(←ペローの童話)に出てくるのだということがわかった。この2つの話は、題名には耳なじみがある(ひょっとしたら読んだことがあるのかもしれない)が、どちらもはっきりとは内容を知らない。きっと元は同じものなのだろう。そして、それはケルトの伝承であるに違いない。ペローの「青ひげ」も、元はと言えばブルターニュの言い伝えらしいし。(
「騎士と妖精」参照) そして、ハウルはウェールズ出身。イギリスの場合、魔法とか魔法使いというと、やっぱりウェールズとかコンウォールなのだわねえ・・・と、このところ妙にケルトづいた読書傾向になっているのは、単なる偶然なのだけれど、間接的には指輪物語の影響です。
ちなみに、翻訳者は経歴からして神宮輝夫先生つながりの人。なんとなく嬉しかったりして。