タグ:日本の小説・文学 ( 162 ) タグの人気記事

政と源

三浦しをんの小説。

特に彼女の作品を贔屓にしているわけではないのだが、「月魚」が面白かったのでもう1冊、と。

政と源は幼馴染のおやじ2人の名前。
下町の人情をたたえた、なかなか良いエンターテインメントである。
なにより感心したのは、主人公(政だったっけ?もう忘れてる(汗))の心情描写。
よい亭主だったつもりが、妻に出ていかれてしまっている。離婚まではしてないけど。
いったいなぜ!?

あと、下町っぽいおやじ中心の話というと、有川浩の「三匹のおっさん」を思い出すのだが、三浦しをんは段違いに文章が練れている。美しい。

やっぱりあなどれないぞ三浦しをん
と思わせた作品でした。



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by foggykaoru | 2018-05-12 09:21 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

みちのくの人形たち

深沢七郎の短編小説集。
実は途中でやめました。
今まで読了した本しかポストしてなかったんですが。

この作家、「楢山節考」を書いた人だよね、、という認識はあったのですが。
で、「楢山節考」というのは、きっと私の好みではないと思い、映画も観ようとしなかったし、原作にだって手を伸ばさなかったのですが。

今回この本を読んで・・・

いや、もうまったく、ほんとにそういう感じ。

暗~い。貧しさ。悲しみ。モラルを超越した何かがじっとり。
人間の心の奥底に存在する真実。「業」っていうやつ?
でも目をそらせてはいけない。

そういうものを描く作家として、彼は独自の地位を確立したんだろうけど、私はこの本を3分の2くらい読んだところでお腹いっぱい。

作風が合わないというのが大きいけれど、文章も気に入らないんです。
読んでいて赤を入れたくなるところがちょいちょいある。
それがなかったら、なんとか読了しただろうと思います。



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by foggykaoru | 2018-04-30 20:37 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

月魚

三浦しをんの小説。
古書店を営む若者と、その幼馴染である「せどり屋」の物語。

うーんおもしろい。
同じ古書店がらみの小説として、「ビブリア古書堂の事件手帖」があるけれど、こっちのほうが断然おもしろい。

で、なにがおもしろいって、2人の若者の関係性。
BLではないのだけれど、その香りが濃密。
そーゆー記述は一切無いんです。念のため。
でも、さすが「腐女子」を自称する三浦しをん。
書いてないことを想像させるのがうまい!










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by foggykaoru | 2018-04-24 21:03 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

獅子文六の小説二編

「青春怪談」
獅子文六のユーモア恋愛小説。
前に読んだ「胡椒息子」よりもぐっと時代が下る。戦後です。1954年発表。
どうってことないんだけど、後半になると、性というかジェンダーに関して、獅子文六って時代を先取りしてる?とちょっとびっくりな話になるのでした。

「コーヒーと恋愛」
こちらは1962年の作品。
フェミニズムとまではいかないけれど、これまた(今だったら普通だけど)当時としてはちょっと先進的な結末。

獅子文六はフランス通。
奥さんもフランス人だった。
(お孫さんを見かけたことがあります。大学の先輩だったんで)

フランスといえば(というのも変だけど)
「女性は女性に生まれるのではない。女性になるのだ」
という言葉で有名な、シモーヌ・ド・ボーヴォワールの「第二の性」。
日本でも、インテリだったら絶対に知っていた。
フランス通の獅子文六だったら、フランス語で読んでいたかもしれない。
影響も受けたはず。

調べてみたら、「第二の性」は1949年発表。邦訳が出版されたのは1953-55年。
やっぱりね。







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by foggykaoru | 2018-04-20 22:27 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

胡椒息子

獅子文六が、1930年代に発表した小説。
ランサムと同時期ですな。

東京の裕福な家庭に生まれた少年の物語。

ごくごく軽い小説だけど、
当時の金持ちのドラ息子やドラ娘、ドラ妻(なんて日本語は無いけど)の生態が興味深い。
ちょっと気になるのは、男性に甘いこと。
まあ昔だからね。第一、作者自身も男だから。

暇つぶしにお薦めです。

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by foggykaoru | 2018-03-24 09:07 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

幹事のアッコちゃん

柚木麻子の女子校ノリはあんまり私には合わないんだけど、これは「ランチのアッコちゃん」の続編だからいいかなと思って。
前作では元気一杯のスーパーウーマンだったアッコちゃんが、ちょっとお疲れだったりする。

気晴らしに読むのにいいんだけど、もうこのシリーズが出ても読まなくていいかも。


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by foggykaoru | 2018-03-05 20:42 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

ジヴェルニーの食卓

原田マハの短編集。美術ネタ。
扱われている画家はマティス、ドガ、セザンヌ、モネ。
先日読んだ「楽園のカンヴァス」には遠く及ばないけれど、まあよかった。

これらの画家と作品を知らないとわかりにくいかも。

マティス関連のも良かったけれど、いちばん面白かったのは表題作。

前々から、パリのオランジュリー美術館の「睡蓮」の間について疑問を抱いていた。
確かに「睡蓮」はいい、でも他にも優れた画家の優れた作品はあるのに、ここまで優遇されるのはなぜなのだろう? モネってよっぽど好かれていたの? と。
今回、これを読んで謎が解けた。
私の邪推は当たらずとも遠からずだったのでした。






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by foggykaoru | 2018-02-11 11:36 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

猟師の肉は腐らない

著者は小泉武夫という人。
有名な発酵学者なのだそうだ。

著者がモデルである泉山センセイが、猟師をやっている友人宅に遊びに行って、猟師メシをたらふくご馳走になる話。

実に面白い。
ここ数か月で読んだ本の中でベストです。

自分で採ったり獲ったりしたものを料理して食うという意味においてランサム的。
ランサムと大きく違うところは、トイレの話やオンナの話が出てくるところ(笑)

お薦めです。

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by foggykaoru | 2018-02-09 21:24 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

女流作家の作品三つまとめてご紹介

溜まりに溜まっております。
しょうがないので、ここで3つまとめてご紹介。

1)星間商事株式会社社史編纂室 by 三浦しをん
2)古道具中野商店 by 川上弘美
3)博士の愛した数式 by 小川洋子

いちばん有名なのは3。映画化されたし。
読んだ人はみんな「あらまだ読んでないの! いいわよ」と口をそろえて言うのだが、なんとなく読みそびれていた。
どういう設定なのか、あらかじめ知っていたから、新鮮さには欠けたけれど、評判が良いのは納得。
小川洋子という人はよっぽど数式が好きなのだろうか。
それともこの作品のためにネタを勉強したの?

2は印象が薄かった。悪くはないんだけど、ちょっとあっさりしすぎ。
川上弘美はもう読まなくていいかも。

で、いちばん気に入ったのは1でした。
三浦しをんは筆がたつけれど、構成力?みたいなものがいまひとつだと感じていただけに、実に意外な結果です。
この作品は今まで読んだしをんの作品の中で、話自体はいちばんどーでもいいというか、ぶっちゃけ、下らない話。
であるにも関わらず、というか、であるからこそ、彼女の良さが際立つのかな?
主人公はオタク女性(腐女子)。その心情が、実にこまやかに説得力ある筆致で描かれている。(さすが、オタクを自認しているしをんだけのことはある。)「咳をしてもオタク」とか、うまいぜよ。
主人公以上に魅力的に描かれているのが社史編纂室の同僚たち。彼らに会いたくて、読み返してしまいましたよ。
この本は「売る本」の箱には入れずに、しばらくとっておきます。







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by foggykaoru | 2018-02-05 22:09 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

「坊ちゃん」はなぜ市電の技術者になったか

「テツ」として知られる英文学者・小池滋が、日本文学における鉄道ネタを追究するエッセイ。
扱われているのは表題の夏目漱石、田山花袋、永井荷風、佐藤春夫、芥川龍之介、宮沢賢治、山本有三。

おもしろい。
なにしろ「テツ」だから、鉄道ネタを調べるのは全く苦ではないのだろうけれど、日本文学は専門外なのに、ほんとにすごい。
佐藤春夫の「田園の憂鬱」なんて、まさにミステリーの謎解きだし、芥川の「蜜柑」という作品は、その作品の読み方自体が変わるかもしれないような大発見なのではないか。
宮沢賢治についての見方も大納得。

この本を出すきっかけは、表題作のほんの頭だけ、とある雑誌のエッセイとして発表したら、それを読んだ編集者が「こういう本を書きませんか」と企画を持ってきたそうだ。
腕利きの編集者というのはそういうものなんだろうな。

ところで、永井荷風なんて、いまどき読んでる人、めったにいないだろうけど、案外お薦めです。
手にってみて読めなかった作品も少なくないんだけど、「腕くらべ」か「おかめ笹」(←どっちだか忘れた・・・汗)、そして「つゆのあとさき」「墨東綺譚」をこの順番で読んだら、東京という町の変遷がよくわかって、なかなかでした。
水商売の女性を扱った作品なので、学校の先生は決して薦めないでしょうけれど、おとなのあなたにはよろしいかもよ。




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by foggykaoru | 2018-01-25 09:51 | エッセイ | Trackback | Comments(2)